センチメンタル夏

夏のセンチメンタルが火をつけて

感傷さのままに自転車で

日のついた花火の如く駆け走るのです。

妙なベンチでベタつくカップルに

河原で青春ごっこをする若者たち

その中に僕の気持ちに勝る者は

誰一人いないのです。

こうしてセンチメンタルに駆られたのは

まだ何かあると思ったからで、

何もない先に何かあると

信じきれなくなったら

自分が自分ではなくなってしまうのです。